男子大学生の日常

男子大学生の雑記ブログです

近況報告0112:研究テーマがかなり決定した

これまで、様々なことに関心があり、研究テーマが決定できなかった。卒論も、題目提出の段階である程度関心があったものを選択したが、結局すごくハマったわけではなかった。

 

これまでの自分の人生(高校~大学)を振り返って、自分の実体験や学習経験をよーく内省し、自分の関心の核を念入りに探ってきた。そこで、ごちゃごちゃした学習経験の中に、自分の関心の核の部分を段々とつかめるようになってきた。

 

第一に、自分の関心は、数理的な手法によって世界を明らかにしていくという方法論である。質的調査には関心が向かなかった。また、高校の頃は文系だったが、数学と物理と生物はすごく好きだった。

第二に、マクロなこと、普遍的なことにより関心がある。人類史もそうだし、国際比較が好きだった。つまり、空間的・時間的に広いことを捉えると快感を覚える。これは1つ目の点と密接につながる。普遍的なことを考えようとすると、全ての事象を統一的に表す数式を見つけることや、大規模データの解析が必要で、数理的手法が自ずと必要になる。

また、マクロなこと、普遍的なことに関心があるのは、自分がクリスチャンであることにも関連している。聖書には世界の真理が書かれているからである。

関心は、相対性理論量子力学、宇宙などの物理現象から、進化生物学などの生物現象、経済成長や政治制度の変遷などの社会現象、人間の行動形質に関する行為論まで様々であるが、自分はやはり「人間と世界」に関心がありそうだと気づく。つまり、「世界」だけでは駄目なので、物理学とかはここでなくなる(といっても宇宙はめちゃめちゃ好きである)。

第三に、本質的・中核的なことに関心がある。現代の様々な社会制度(ex. 選択的夫婦別姓)を個々に見ていき、具体的な政策論議をすることも確かに面白い。しかしながら、そもそも人間が制度を作るのはなぜか?それは本質的には社会集団のルール作りであって、家庭で風呂掃除の担当をどう決めるかとか、小学校の学級目標決めとかと一緒である。そういった人間社会の本質的・中核的な部分を取り出し、その議論に現代の諸制度を位置づけるということが面白い。もし、その本質的な要素を議論の出発点とすることで具体的な政策論議に新しい視点を導入出来たら、最高である。神取ミクロを初めて読んだ時の興奮体験は忘れられない。市場の原理と共同体の原理から、「人類の協力形態」全般にまで話を拡張していた。

第四に、人間の形質が遺伝子と環境によって決まる過程と、その進化的説明にワクワクを覚える。また、合理的選択理論などの行為理論にも従来から関心があった。具体的な行動(アプリケーション)よりも、人はどのように意思決定しているのか(OS)に関心があった。

 

ここまでくると、かなり明確になった。つまり、人間の形質の規定要因は遺伝子・自然環境・社会環境であり、遺伝子は進化生物学、自然環境は人文地理学、社会環境はミクロ経済学・数理社会学が対応している。また、遺伝子と環境の間を仲介する役割を果たす社会心理学行動経済学・文化進化も重要だ。

 

よって、自分の関心は「遺伝子と社会環境と自然環境によって形質が規定されるメカニズムを明らかにすることであり、それは空間的・時間的に広い視野に基づくものであり、そのためにも数理的・計量的手法を用いる必要がある」ということになる。

理論面では、進化生物学、社会心理学行動経済学・文化進化、人文地理学、ミクロ経済学・数理社会学の理論・数理モデルを学ぶことになり、実証面では分野横断的な計量分析を勉強することになる。幸いなことに、計量分析は大学4年間である程度勉強してきたし、何か追加で学ぶ必要があればその都度勉強すれば良い。

 

次に、何の形質を扱うかという研究対象について述べる。

第一に、自分はクリスチャンであるということが自分の人生に強く影響してきた。つまり、信仰心・宗教団体所属などの宗教的形質は当然関心があるが、それだけでなく罪の意識や利他心、隣人愛などについても考えてきた。どうすれば他の人に優しくすることができるのか、なぜ人はアカの他人である未来世代のために環境問題に取り組むのか、社会の協働メカニズムは市場原理と共同体原理のどちらが有効か等のことにずっと関心があった。つまり、このような人の気持ち、思想、パーソナリティ、信仰心、協調行動などの形質に強い関心があることが自覚できた。

第二に、文化的な現象への関心が最近高まっているということだ。以前は、経済や福祉、労働などの社会問題に関心があったのだが、むしろ人の幸福感や社会意識、文化などの「生活の質的側面」に関心が傾いてきた。見田宗介現代社会はどこに向かうか』の影響力が大きい。

つまり、研究対象は、宗教的な形質、人の隣人愛や利他心などのパーソナリティ、社会の協働原理、幸福感や現在志向などの意識、人々の実践する文化などになろうか。

 

これで、やりたいことがかなり決まった。研究対象は、遺伝子ー人間の形質(宗教、パーソナリティ、意識、文化)ー環境の因果メカニズムの解明であり、方法論は、数理モデル(理論)と計量分析(実証)に基づいた歴史的・国際比較的視野に立った進化論的アプローチである。依拠する学問は、進化生物学、社会心理学行動経済学・文化進化、人文地理学、ミクロ経済学・数理社会学である。

 

もちろんこれでもまだ広い。しかしながら、人生の初期段階でやりたいテーマを決める際には、広いほど良いのではないか。研究テーマに枯渇する心配や飽きる心配がないのだから。上記の学問は、いずれも大学で専攻してものではない。因果推論や機械学習などの計量分析はほぼ全ての学問で有用なので、それを勉強していたのは良策だった。だから、上記の学問の理論面をまず教科書的に勉強する。そして、その中で特に関心を抱いた分野に入っていきたい。

 

とても参考になる2人の学者を見つけた。大垣昌夫と川越敏司である。2人とも行動経済学・実験経済学で活躍しているようで、ゲーム理論計量経済学にも精通しているようだ。研究テーマも、共同体や社会的選好、文化などで私の関心と近い。そして、2人ともクリスチャンである。大垣昌夫は『宗教の経済学』の解説も担当している。

私も彼らのような研究者になりたい。そのためにやらねばならないことはたくさんある。しかし、やっと自分の人生を通して追求したいテーマがある程度の自信をもって見つけられた喜びは大きい。