男子大学生の日常

男子大学生の雑記ブログです

宗教を従属変数とした理論の整理

〇整理(『よくわかる宗教社会学』2-5,8,10,12,13+「宗教市場理論の射程」を参照)

1世俗化論

ウィルソン:宗教衰退

バーガー:チャーチ(制度)が合理化し、個人的関心へ

ルックマン:組織や儀礼が後退し、個人の消費の対象へ(見えない宗教、私事化)

ベラー:市民宗教として機能(規範的な機能あり)

 

↓1980頃から公共領域における宗教の復権現象(ex. 宗教ナショナリズム原理主義

 

2宗教市場理論(合理的選択理論)

スターク、ベインブリッジ:近代化が私事化・多元化・自発化を促し、宗教を繁栄させた。多様な宗教の供給は市場を活発化し、独占的宗教組織は不活発化。現代のアメリカは前者、ヨーロッパは後者。宗教需要はどんな社会でも必ず存在している(全人類は一般的代償物を求めざるを得ない)

 

〇考え

・宗教と世俗化の定義による。定義に基づいて指標を選び、その指標を従属変数とした分析を蓄積していくのが明快

・教団レベル、行事レベル、個人レベルで考えることは有益だと思うが、「私事化」と一言で言っても、伝統宗教への信仰とスピリチュアリティが機能的に等価かどうかもよく分からない(それ自体リサーチクエスチョン)し、教団所属と行事参加では宗教性のレベルが全然違うと思う。やはり、定義、指標を基に議論していくべき。

・上記の宗教の定義(ex. 制度宗教の信仰の有無、教会出席率)を個人レベルで解明することからボトムアップに理論構築すべき。この点、行為理論としての合理的選択理論を基に組み立ててる宗教市場理論は評価できる。マクロレベルで説明しようとすると抽象的な議論にしかならない。その際に、宗教領域内のメカニズムと、その外部からの影響の双方を区別して捉えるべき。宗教市場理論は内部でかなりの程度完結している(宗教供給のみで説明できる)が、それでも「社会の多様化」という外部の社会変動も組みこんでいる(頼っている)。もし宗教領域内で説明が完結するならば、宗教領域以外の社会変動の影響は全く受けないということになる。

・一番重要なのは「どの宗教を信仰していますか?」への回答(信仰心)だと思うので、「どうやって入信、改心、棄教するのか?」という入信過程の説明モデルを洗練化させていった方が良いと思う。その中で、各教団の社会への働きかけや組織の実態も捉える必要が出てくるので、そこで宗教組織論や宗教運動論も重要になってくるという嚙み方だと思う。個人の行動を説明する時にマクロレベルの変数を独立変数とすることは当然アリで、個人が変わっていくと社会環境も変わり、それが個人に影響するというフィードバック構造を上手く捉えなければならない(ABMが得意とする)。